夜の庭の恐怖体験
雨の日の夜の庭を散策しようと思い立ち、ハンディライトを持って外に出た。水滴の付いた植物を見て、雨の日の庭もなかなか良いものだと思いながら過ごすつもりだった。あの忌々しい出会いまでは……
傘をさして樫の木の横を通ったときだった。右手の親指がチクリと痛む感覚があった。指を見てみると、すこし赤く腫れているようだった。蚊か何かそんなものだろうかと思った。しかし、すぐにこれは蚊に刺されたときの感覚とは全く違うことがわかった。
ハンディライトの光量を上げて辺りを見回してみたが、何も見つからなかった。そんなとき、樫の木の異変に気づいた。この木、何かがおかしい。
葉の裏に何かが付いている。それも1つや2つではない。そこかしこにくっついているのだ。2cmくらいの緑色の物体が。
よく見てみると、それは緑色の毛虫だった。
家に戻って指の腫れを見てみた。見た目は蚊に刺されたのと何ら変わらなかった。しかし、ピリピリと痛い。
早速、インターネットで虫のことを調べてみた。イラガの幼虫であることがわかった。通称「電気虫」とも呼ばれているらしく、指が痛い。
しかし、指の痛みよりも樫の木のことが気がかりだった。どうやってイラガを退治すればいいのか。また例によってインターネットで調べた。うちにあるものだと、ベニカXファインスプレーが効果があるようだ。
外は暗かったが、ハンディライトと軒のダウンライトを駆使すればいけるだろう。風が無くてよかった。絶好のスプレー日和だった。イラガめがけてスプレーを発射した。
夜が明けて早朝、樫の木の下には大量のイラガの幼虫が落ちていた